この日の為に、お母さんは振袖着付けのお稽古をコツコツ続けてこられたようで、積み重ねること約２年の想いがこの日いよいよ陽の目をみることになりました。
お支度は通い続けた着付教室「好日庵」さん（春日井市）で行い、最初から最後までお母さんの手によるお支度が進んでいきます。
衿元を整えるために、ほんの少し前かがみになる姿、帯を結ぶ背中。何度も練習を重ねてきたであろう動きから、娘を想う気持ちが伝わってきます。
振袖はお母さんが二十歳の時に袖を通された大切なお着物で、いわゆる「ママ振袖」を娘さんの為に整え、結び、仕上げていく時間は言葉にしなくとも伝わる深い愛情そのものでした。
この振袖は長女さんも、次女さんも、それぞれ二十歳のお祝いの時に袖を通したお着物。姉たちの晴れの日を見届けてきた振袖がこの日ついに末っ子さんの下へと受け継がれたのです。
お支度中は３姉妹の笑い声が絶えず、スマホで撮りあいっこしたり「長襦袢だけでもかわいい」「この色、めっちゃ似あってる～！」なんて声が聞こえてきます。
順番にお着物を着て行く中で、ひとり、またひとりと、華やかになっていく姿をみてはお互い嬉しそうで自然と笑みが溢れています。
にぎやかな３姉妹に囲まれながら、お母さんは黙々と集中して丁寧に着付けを続けるー。
笑い声に包まれながら進んでいくお支度時間はご家族らしさが溢れ、暖かで華やかなひとときでした。
撮影は自然に囲まれた古民家で行いました。
柔らかな光が入る室内から、外に出れば色づいた葉が目の前に広がります。
場所を変えながら、三姉妹や、お母さんも一緒に入ったご家族集合カットなど、どの組合せも仲の良さがそのまま写真になり、カメラ越しにも温かな空気が伝わってきます。
主役の末っ子さんの撮影になると、見守る姉たちから自然と「かわいい～！！」の声が飛んできます。
ポーズをするたび、視線をむけるたび、まるで「推しを目の前にするファン」のようで、どれほどに姉たちに可愛がられ、沢山の愛情に包まれて育ってきたのかがダイレクトに伝わってきます。
母の手で着つけられた振袖と末っ子さん、そして姉妹の笑声に包まれる撮影時間。
自然豊かな古民家で過ごした穏やかなひととき、そのどれもが重なって、写真には写りきらないほどのおもいがこの1日に詰まっていました。
振袖姿の美しさだけではなく、そこに至るまでの時間やご家族の関係性までもを残せた前撮りとなり、写真とともに「令和７年の秋の記録」を残すお手伝いが出来たことを写真家として嬉しく思います。
この日も、ご家族の大切な節目に立ち会わせていただけたことに感謝いたします。ありがとうございましした。
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